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「国際障害者デー」を祝して

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2008年12月02日

 長年にわたり、障害者の生理及び各国の法律や社会等の面での障壁により、各国の障害者は、政治、経済、社会及び文化等の権利を健常者と同じように平等に享受することができず、また、このことについても、社会から十分に重視されることはありませんでした。このため、1976年、社会全体の障害者に対する関心を呼び起こすことを目的に、国連総会は、1981年を「国際障害者年」とする旨を宣言しました。そして1982年12月には第37回国連決議が「障害者に関する世界行動計画」を採択し、更に1983年から1992年を「国連・障害者の10年」とする旨を宣言し、世界各国、各地域及び国際組織が積極的に活動を展開し、人々の障害者に対する理解及び尊重を促し、障害者の生活状況を改善し、障害者が社会参与の平等な機会を享受できるようにするよう呼びかけました。1992年10月の第47回国連総会では、国連成立以降初めての、障害者の問題に関する特別会議が開催され、総会において毎年12月3日を「国際障害者デー」とする決議が採択されました。「国際障害者デー」を確立した目的は、政府及び社会の障害者に対する認識を引き続き向上させ、各国及び各地域の政府が障害者事業を優先的位置に置くよう促し、より一層有力で広範な行動及び措置を講じて、「人々が共有する社会」という目標を実現することにあります。「国際障害者デー」の確立は、全世界という範囲において、障害者事業が日に日に広範な注目を集め、異なる人種の人々が「障害者事業とは人道主義的事業であり、人類の進歩及び正義に係る事業である」という一つの共通認識を形成し始めたことを意味しています。

 「就業」とは、障害者事業の中でも最も重要な構成部分であり、障害者が「人々が共有する社会」を実現する根本的な保証です。現在、世界には合計6.5億人の障害者がおり、これは世界総人口の約10%に当たります。また、このうちの80%は、発展途上国の人々です。障害者の周縁化をもたらす環境や社会、法律上の障壁がなお存在していることから、障害者は、教育、就業及び医療・リハビリ等の面における権利、特に就業面での権利について依然として様々な程度の制限を受けています。2007年の国際障害者デーには、国連事務総長が次のようなメッセージを寄せています。「各種推計によると、先進国の障害者のうち少なくとも半数、発展途上国の障害者のうちの大多数が失業しています。就業している障害者の大多数も、不完全雇用であるか、又は労働力市場に十分に参加する機会が常にない状態です。つまり、ほとんどすべての社会において、障害者は十分な就業の機会を剥奪されているということができます。実際には、障害者は、労働者の中において被雇用者又は雇用者として貴重な貢献をする能力を有しています。しかし、彼らはその潜在能力の実現を阻む多くの障壁に直面しています。早い段階において、彼らは、教育を受け、又は就業技能を把握する上で困難に遭遇します。その後においても、彼らの能力に対する懸念及び偏見のため、健常者が享受している労働の機会を剥奪されてしまいます。一部の労働場所においては、明確な、又は遠回しな差別的制度や方法、不利な業務条件が更なる障壁を形成しています。しかしながら、機会がありさえすれば、障害者は、業務の中において自らが財産・富を創り出す労働者としての価値を証明することができるのです。」障害者の大多数は、まじめに、また、こつこつと業務に励んでいます。既に発効している国連の「障害者の権利条約」においては、障害者が健常者と平等であることを基礎に労働及び就業の権利を享有することを承認しており、かつ、障害者が自由に業務を選択して生計を立てる権利及び受容的でバリアフリーな環境において業務する権利を強調しています。現在、労働場所・環境の絶え間ない変化及び情報・通信技術の進歩により、障害者の求職に新たな道が生まれています。ますます多くの雇用者が、障害者を雇用することは賢明な行動であり、社会発展の趨勢、企業の社会的責任(CSR)であると徐々に認識しつつあります。

 毎年12月3日に国際障害者デーを祝して行われる活動の趣旨は、障害者問題に対する人々の理解を促し、人々が障害者の尊厳を擁護するよう奨励し、かつ、障害者の権利及び幸福を保障することであり、同時に、障害者が政治的、社会的、経済的及び文化的生活等に溶け込む際に味わう達成感を増加させるためでもあります。

 毎年の国際障害者デーのテーマは、障害者が十分に、また平等に人権を享受し、かつ、彼らが社会に参与するという目標の上に立てられます。2004年のテーマは「私たち抜きで私たちのことを決めないで(Nothing about Us without Us)」、2005年は「障害者の権利:発展への参与」、2006年は「eアクセシビリティ」、2007年は「障害者のためのディーセント・ワーク」でした。各国の障害者組織は、国際障害者デーとは世界の障害者が十分に社会参与を果たし、平等な機会を享有するための運動の一部であると位置づけています。国際障害者デーを祝うことは、障害者に対する人々の態度を変えさせ、かつ、障害者が社会や生活等に参与するときに影響を及ぼす障壁を取り除き、法により障害者の権益を保障して障害者事業を発展させる、またとない機会を提供しています。中国の政治、経済及び社会の発展に伴い、各界及び社会全体の人々が障害者事業の発展について一層重視し、また、関心を寄せるようになってきています。このため、障害者事業も、新たな発展の段階を迎えることとなるでしょう。


CSR部 林偉